■久しくエントリーから遠ざかっていたイラストレーターSenJ4ですが、どっぷり制作に浸っていました。
やっと一段落してゆったり出来るようになったのですが、つい先週まで取りかかってたイラスト制作はおなじみの水彩画です。これで終わったかな?と思ったら....来月から入ってくる制作もタッチは水彩画なんです。
SenJ4と言えば「水彩画」と言われるほど(....勝手な妄想)何故かしら水彩画のオファーが多いんですが、世の中それほど描き手が少ないのでしょうか?
いえ、アートな世界で水彩画家はたくさんいますよね。
ただ、イラストレーターでアナログな水彩画を得意とする方達が少ないだけでしょう。
確かに、今のイラストレーターはMacなどのパソコンでイラスト制作をするのが常ですし、納品形態もデータ納品が当たり前になっていますからね。
私自身も以前のように原画を納品すると言う事がほとんどなくなっています。
原画を納品しても結局はGデザイナーや印刷所でスキャンされデータ化されるのですから、描いた本人が巧くスキャン出来るのであればそれに越した事はありません。
それに原画納品する場合、原画を後日返却してくれるとは限らないからです。
私も過去何千と言う作品を描きまくり納めてきましたが、全ての作品が手元に返却される事は無かったのです。
確かに透明水彩絵の具は扱いが難しい画材でしょう。だからこそ面白い!
イケナイ恋の方が燃えるのと同じ....関係ないか(笑)
今日は
水彩画のお話をしてみましょう。
《 水彩画の面白さ 》
■水彩画の一番の見せ所はなんでしょう?
それは水彩画独特の技法である
「ぼかし」や
「にじみ」「溜まり」です。
最近の若手イラストレーターは多くの人がパソコンで描いていますが、似たり寄ったりのタッチが氾濫していますね。特に塗りに関しては、多くの方達がバケツアイコンのclickでムラの無いベタ塗り一色三昧。
線によるカタチのタッチはいろいろですが、塗りに関してはタッチ的にベタ塗りだらけで差がありません。
そう、水彩画との
大きな違いは「色の塗り方」です。
逆に透明水彩絵の具で均一なベタ塗りほどツマラナイものはありませんよね。
透明水彩の描き方は人それぞれ多種多様です。
思いっきり描き手の個性が出やすい画材ですが、私の場合は風景画のスケッチのように着彩時に鉛筆などでモノの輪郭線を取りません。
鉛筆で描いた下絵をライトボックスで透過させ、筆に水をたっぷり含ませて一気に塗り始めます。
輪郭線が無い分、ごまかしが効かないので隣同士の色との境界には神経を使います。
色味だけでモノのカタチを表現するところに面白さがあるのです。
鉛筆で輪郭線を取ってその中をタダ塗るだけではちっとも面白くありません。
意図的にする場合もありますが、基本的に油絵の具やガッシュ、リキテックスなどのように後から重ね塗をすると言う画材では無いのです。
なので
修正も効かない一発勝負の世界です。
クライアントから修正や直しが入ったらほとんど最初から描き直さなければなりません!
そして、水彩画はたいてい水彩紙自体に水分を含ませてから着彩するのですが、水彩絵の具は濡れていると濃く見え、乾くと薄くなります。薄すぎるからと言って重ね塗りをするともう自然ではなくなります。
例えば
ピンクと
ブルーのグラデーションを描こうとする場合、水彩紙の上で2色をグラデさせるべく一気に混ぜます。
絵の具が乾くとアウト!なので濡れているうちに描き進めます。
乾くまでの時間との勝負!この緊張感がたまらない魅力でもあるわけですね。
つまり色を付ける時には完成したイメージをキチンと頭に描けなければならないわけです。が、
頭に描いても、思う通りにいかない
偶発的なところが水彩の面白いところでもあるわけで、
「お、この感じもいいなぁ」と思う事もしばしば。
《 水彩画の補正の難しさ 》
■以前のエントリーでも水彩画の色の補正について描きましたが、水彩画の淡い作品の補正は、よほど
Photoshopの色補正に自信のある方以外はなさらない方がイイかもしれません。
淡く薄い方の色を奇麗にスキャンできたとし、実際は出ませんが
1%〜
100%
の色濃度が出せたとしても補正するのはかなり気を使います。
Gデザイナーが奇麗に
切り抜きが出来るように水彩紙自体の地の色味を消し、ホワイトにしてしてあげるのが描き手の常識なんですが、このホワイトにする作業が大変なんです。
というよりも真っ白な部分を真っ白にスキャンする事自体が難しい.....
パソコンで描いたイラストはもともと紙の上ではないのですから下地の色を消すのはいとも簡単です。
でも水彩画は水彩紙自体の地色や表面のデコボコなどをスキャンで拾ってしまうので、水彩の顔料が水彩紙に自然と溶け込んだボカシ部分や境界を奇麗に見せる補正は大変な作業になります。
スキャン後にGデザイナー任せでなく、描き手本人の手で色味補正や修正などを直接するのは、勝手にいじられて思わぬところまで消されてしまうという事を回避出来ると言う部分もありますけれどね。
どうしても
1〜10%前後の淡い着色部分(水彩紙と絵の具とのナチュラルな溶け込み具合)が飛んでしまい、水彩画独特の自然な
「ぼかし」や
「にじみ」などが犠牲になってしまう場合が多々あるんですよね。
今のイラストレーターは補正作業もキチンと出来ないとプロではやって行けない時代です。
水彩画をデータ化するのは本当に面倒なんですが、これも時代の流れですから対応していかざるを得ません。
水彩画は原画が一番美しいんですけどねぇ...
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