-----今日は久々に、本気でアートなお話です。(尚、本家のブログでも同エントリーしています)
さて、デジタルで描く事をメインにしている人が最近は本当に多くなっていますよね。
ワコムのIntuosや液タブなどでイラスト制作が当たり前になってきていますものね。
同じ道具と同じアプリを使ったデジタル画は、どうしても似たり寄ったりの絵柄・タッチに陥りやすいのがネックですが、修正作業がしやすいのと、一度作った素材の使い回しが可能と言うメリットもありますよね。
でも、アナログ画材を使っているクリエイターの方達もまだまだいることでしょう。
アナログでもデジタルでも、使用画材が異なっていてもあなたの絵心は変わらないはず。
自分の感性を磨くためにも、スキルを上げるためにも数多くの作品を見て、引き出しを少しでも多く持つ事も重要な事です。
今日はデジタルから離れて、筆と絵の具を溶きながら描くアナログな描画の楽しさをお伝えします。
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昨日、『アートを観に行こうじゃないか!?』と、前から気になっていた事をふと思い出して
札幌の三越で8月5日〜8月16日まで開催されている《 片岡鶴太郎展 還暦の紅 》へ行ってきました。
1954年生まれの現在60歳。TVなどで水墨画を拝見していたので、原画展示は見てみたかったのです。
NHKでも水墨画の講座をなさっていらっしゃるのは知っていましたが、原画は初めて見ました。
作品には鶴太郎さんの解説がパネルで添えられているのを読みながら、アトリエの映像も拝見して来ました。
描く作業の様子が少しでも見られるのは貴重ですよね。
鶴太郎さんが38歳から芸術の世界へ足を踏み入れた軌跡を、120余点の作品で垣間見てきたのですが・・・
《 原画の展示はやはり素晴らしかった! 》
■僕はまったく鶴太郎さんの技法に関しては予備知識は無くて、どんなタッチで、どういうふうに描かれているのかを見に、&技法を盗みに(笑)行った訳ですが、16日の最終日前に行けて本当に良かったです!¥800
上の最新作『金魚〈二曲屏風〉』は、描かれた金魚が泳ぐ映像も背景の壁に映し出されて幻想的。
この金魚のタッチは他の作品と違って、かなりリアルなカタチに描かれていましたね。
この屏風に描かれている金魚は1匹描くのに1時間かかっているそうですから、数的に相当な時間かかってます。
過去の展示会では発表されていなかった処女作の油彩画『家族』1993年作も展示されていました。
岩絵の具を溶いて描いている作品とは大きく違うものです。
最近は鶴太郎さん、また油彩画を描き始められたそうです。
しかも全部〈 指 〉だけで。
個人的には油彩画より、水墨画や日本画のタッチのほうが好きですけどね。
その指で描かれた、ボクサー・俳優など芸能界のお友達の似顔絵もたくさん展示されていました。似てる!
描かれた方々も還暦祝いの色紙を書かれて、それも展示されていました。
萬田久子さんのはキスマーク付き♪
原画・版画、作品のアートカード、絵入り便せん、クリアファイル...などのグッズ展示即売会もしてました。
50万、100万する原画販売もありましたが、売っちゃっていいんですか〜?
でも思い入れのある、売る事が出来ない作品は版画で限定60枚だけ刷っての販売だそうですよ。
そうそう、鶴太郎さんはイヌ派で、猫はお好きじゃないらしいのですが、なぜか猫の絵がたくさん♪
しかもカワイイの!なので記念に1枚だけ、ニャンコのカードをゲットしてきました。
仔猫二人/2009
原画と比べると、印刷の場合はどうしてもシアン系の色味と言うか、発色がかなり落ちてしまうのが残念!
この作品も原画を販売してましたよ!20万弱。ニャンコ飼い主としては原画飾りたいな〜。(^_^;)
《 作品を見終わって・・・ 》
■画業20年の中で、鶴太郎さんのタッチも色々と変化してました。
逆に言えばいろいろなタッチの引き出しを持っている、と言うことでもあるでしょう。
彼の作品の中でも、やはり僕がすごいな〜と思ったのが、「 書 」です。文字だけの作品。
その中の1枚【 夜 】が今年の3月に、書の芥川賞と言われる「第10回 手島右卿賞」を受賞されたのも納得。
左上の作品群の下の方にあるのがそれですが、原寸は相当大きいので迫力があって、一瞬、文字に見えない。
文字をこのように表現して書けるのは、僕には到底出来ないので 書くのに憧れちゃいますね〜。
片岡鶴太郎美術館が近くていつでも見に行ける人が羨ましくなりました。
ちなみに僕はイラストレーターなので、筆で描いた文字ではなくて、筆タッチで描くとこんな感じに(笑)
実際にかなり昔に広告の仕事用に描いた作品です。
▼日本人なら やっぱりご飯♪(新聞用イラスト)
▼スポーツしてる人達を筆タッチで一発描き!(何に使用したか...忘れたっ)
失礼しましたっ!いえ、一時期こういう筆タッチの広告イラストが流行った事があったんですよね。
もうデジタルのイラストが溢れている世の中で、アナログなアートを観る機会がなかなか取れ無かったので
久々に絵心を洗ってきました。仕事柄いつも商業美術の世界にいるので、描く絵は常にアートディレクターや編集者から条件を指定されたもので、自分の好きな絵なんて描く事はほとんど無いのですが、逆に条件を指定された枠の中で描く事に慣れきって、自分の描きたいものが失せていました。
鶴太郎さんの絵を観ていたら、絵心がまた沸々と湧き上がってくるのを覚えましたよ。
やはり絵の具を溶いて筆で描くっていう、本来の美術的描画方法は良いものです。
もし鶴太郎さんの展覧会が開かれていたら、絵を描いてる人やイラストレーター、アートを目指している人は是非、自分の引き出しを増やす意味でも彼の原画をご覧になってみて下さい!きっと何かを得られるはず。
観る際は、自分が描く時にどんな画材(筆の種類や絵の具...など)を使えば?どんな描き方をすればこう描けるのか?
彼の技法を解析するようにじっくり目に焼き付けましょう!
長い間に蓄積しておけば、いつかあなたの引き出しも溢れて新しいタッチが生まれる可能性もあります!
そして実際に筆で絵を描いてみて下さい。筆で描く事って本当に楽しいと思います。
僕も今でも水彩画タッチのイラストのオファーは多いので描いていますが、筆に含ませた水彩絵の具が水彩紙の上に広がって行き、絵の具の水分が蒸発した後の発色具合や、滲み、ボケ、溜まり...など、デジタルのようには後から修正が効かない、計算しきれない一発勝負的な部分は描く度に面白いし、新たな発見もあります。
更には絵の具で何に描いて行くのかも重要です。
紙・木・布・ギャンバス...など絵の具を置いて行く下地の種類も様々ですし、室温や湿度の影響も受けるので同じものが描けない。集中力と緊張感を高めて一気に描く事が大事で、後から修正する事は考えないようにします。
修正する事は失敗と同じ事なので、最悪もう一度だけ描き直すのが一番です!
ただし描き直しも何度も繰り返してはイケません。描き直しが多いとそれだけ集中力も緊張感も失われて、逆に良い作品が生まれてこなくなってしまう事のほうが多いからです。出来るだけ一発で決めましょう!
ここら辺が数値の計算で描くデジタルでは表現しきれない部分なんですよね。だからアナログは面白い。
夏が過ぎればアートな秋がやって来ます。あなたも面白いイラストや絵を描いてみませんか!?
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